トマト栽培の深野さん「野馬捕りの名人だった」

その昔、軍用の馬を飼育するために、房総半島には幕府直轄の牧が小金・佐倉・嶺岡と3つあってね、いまの柏など小金牧の中に、すっぽり入ってたんだよ。野馬がいっぱいいてな、寛政7年(1795)の調査では、小金牧全体で5000頭もいたっていうよ。

ときには野馬捕りがあり、逆井村の人も人足にかりだされたんだ。捕込(とっこめ)という100メートル四方の土手囲いの中へ野馬を追い込んで捕獲する勇ましい行事さ。麦刈りや田植えの終わった7月末から8月にかけてで、馬の一部は農耕馬として払い下げられたよ。

その野馬捕りの日はお祭騒ぎで、活躍した人は英雄視されたんだ。ここに庄兵衛さんというヒーローの民話を聞こうよ。お立会い!

逆井にいまも伝わる民話

代官様から野馬捕りのお触れがきてね、村人たちは迷わず庄兵衛さんと足の早い若衆を行かせることにしたんだ。庄兵衛さんにかかると、どんな暴れ馬でも不思議におとなしくなるんだよ。その日は朝からお祭騒ぎ、見せ場は馬を捕まえる瞬間でな、早くも五頭を捕まえたんだ。

「あの栗毛の馬だ。右へまわれ!」

一番多く捕まえたのは、やっぱり庄兵衛さんだったよ。その日のうちに、代官様から捕手(とったり)の役を正式に貰い、とったり庄兵衛といわれ遠くまで知れ渡ったそうだよ。

「うちの先祖です」というのがファショントマトハウスの深野俊郎さんさ。お父上の正一さんも、なにぶん古い話で、としながらも確認してくれたよ。もう何も残ってはいないけれど、庄兵衛伝説は連綿として語り継がれてきたんだね。市が編さんした『柏の民俗』に、「勢子のための弁当箱が残されていたという」とあるけどね。

逆井中の「子ども・学校支援ボランティア 十色咲かそう会」では、地域と学校を結ぶための、いろいろな行事をしていて、紙芝居もその一つ。六つの民話を紙芝居にし、老人クラブなどを招いて実演している。左の画は、藤心に伝わる「きつねいっぴょ」で、会員の吉原尚子さんがクレヨンで描いたもの。 (民話は50編が採録され、27編が『柏のむかしばなし』に掲載)

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